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うめすけさんさんの新着日記

2015/03/17 15:18:29
介護職の方々は夜勤についてどう思っているのでしょうか?
 3月17日、山形県平成26年度介護人材確保事業「夜勤従事介護職の労働環境調査」の報告研修会がビッグウィングであり、調査研究委員会のメンバーとして参加しました。
この調査は、山形県内の夜勤に従事している介護職員の労働環境の実態、不安、要望を調査することを目的としていますが、介護職について、定着率が低く、重労働であるとの指摘がなされている昨今、この調査に基づいてその実態を明らかにし、今後の環境改善等の方向性を浮き彫りにすることになるものだと思っています。
 
 この調査は、県内の特養、小規模多機能、ケアハウスや養護老人ホーム、有用老人ホーム、グループホームなど、264の施設で働く夜勤従事者を対象として調査したものですが、回収率が72.65%と非常に高く、働く方々の労働環境改善という点で職員の皆さん自身が多くの興味を持ちお答えいただいたということであろうと思います。
 
 そしてまた、注目すべきことは、この調査が、自らの問題点については目をつぶりたくなるはずの、どちらかといえば使用者側によって行われたという点にあろうかと思います。
 
 調査結果については調査結果概要を見ていただくのが一番だと思いますが、主要な点を以下にご紹介します。

(夜勤につきたいか否か)
 回答の就労状態割合は正規職員59.44%、非正規職員35.55%で、夜勤業務についている介護職は86.24%でした。夜勤の頻度については、月4回というのが最大。小規模多機能とグループホームは月5回の回答が多かったとのことで、夜勤を「ぜひ続けたい」「できれば続けたい」との回答を合わせると53.32%、「できれば続けたくない」「続けたくない」が46.68%、小規模多機能、居宅介護、グループホームで「ぜひ続けたい」「できれば続けたい」がそれぞれ71.16%、64.54%と全体結果と比較して高い結果が見られたとのことです。
 夜勤業務を続けたい理由として最も多かったのは(複数回答)、「夜勤手当がもらえ、収入が増えるため」が78.16、「自分のペースで仕事ができるため」が45.60%、「夜勤明けの時間を買い物などに有効に使えるため」が37.71%であったとのことで、収入が増えることを理由とするのがどの事業所でも70%を超えており、夜勤をするための理由の一つとなっているようです。
 夜勤業務を続けたくない理由として多かったのは、「年齢的なもので体力に不安があるため」が50.26%、夜勤手当がない、または少額である」が50.15、「夜勤明けの時間が寝るだけになり有効に使えない」「昼夜逆転になり体力が続かない」「複雑な交代勤務体制のため体調を整えることが困難」がそれぞれ45.97%、42.20%、39.61%が上位を占めています。

(夜勤中の労働環境)
 夜勤中の休憩時間については、「60分」、「120分」がそれぞれ33.61%、33.91%となっており半数を超えていますが、「0分」という欄がないにもかかわらず回答したものが2.93%(107名)もいたということは見過ごせない点となっています。
 休憩時間が設けられていても結果として「ほとんど取れていない」「全く取れていない」の回答が合わせて38.49%と4割になっており、満足な休憩がとれていないことがわかります。その理由として最も多かったのは、「休暇時間をかわってもらえる職員がいない」が62.94%となっており、体制として整っていない点が垣間みれます。
  また、夜勤業務での不安・不満が「ある」「時々ある」との回答を合わせると89.32%と9割近くの人間が夜勤中の業務で不安や不満を感じています。その理由としては、「看護職員がいないため」(43.32%)、「事故等のリスクが高いため」(40.15%)が4割を超え、施設別にみると、「特養(従来型)」では33.88%ですが、グループホームでは16.74%と施設ごとで差異があるようとの結果です。
 
(転職や離職を考えたことがあるか)
 転職や離職については、「常に考える」「時々考える」との回答を合わせると62.58%であり、6割を超える介護職員が転職や離職を考えたことがあるようです。
 その理由については、「収入が少ないため」が54.65%、「体力的に夜勤や交代勤務がつらいため」が40.65%、「精神的に介護の仕事がつらいため」が31.66%、その他「職場の人間関係が問題」「休日や救急休暇が少ないため」「自分の将来に見通しがたたないため」などの回答が寄せられており、離職防止対策として、賃金引上げや介護職員に対しての休日、休養、休暇等を与える仕組みづくりが効果的であると思われます。(有給休暇を取らせないことは労働基準法違反になるのですが、施設長が「取って良い」と言っても同僚への気兼ね、同僚からの指摘で取れないといった事情があることや、そう同僚から言われ、取らなくなったことを施設長が知っても、取るようにしてくれなかった(自分を守ってくれなかった)といった職場環境の問題について、報告会では指摘がありました。)
 

 以上のような点が主な点ですが、私自身の印象として、夜勤をやりたくないという人が多いのではないか、また、夜勤が離職の大きな要因なのではないかと、調査前は思っておりましたが、必ずしもそうではないようです。
 西村山のある施設では、夜勤の金額を5,000円にしたところ、夜勤をしたくないという人がいなくなったという話もあり、やはり給与等の問題なのではないかという見解や、山形県社会福祉協議会の人材研修部の方は、介護職のみならず、保育士などの他の社会福祉分野で人材不足等が生起しているといった点もあるとの実態を紹介されておられましたが、少子高齢化の全体的な社会の流れであるといった点、あるいは、俸給表の整備や休暇取得の制度化などが定着率向上に影響したという話もあり、今回の調査は、離職率低下、優秀な人材育成という点で何をなすべきかの多くの示唆を含んだものとなったように思います。
 
 東北文教大学の八戸宏先生によれば、離職率について、就職して数年の間に離職する率が高いという統計もあり、介護職の離職率が高いという社会の風潮は就職した間もない個人の「仕事のミスマッチ(やりたいという仕事と実際が異なった)」がその大きな要因であるとの見解にも耳を傾けるべき指摘かと思います。(浦山一豊社会保険労務士からは、他の業種の離職率はもっと高く、就職してのち、職員が仕事に愛着を持てるような教育、育成が重要との指摘もありました。)
 今回の山形県の調査結果は、おそらく、全国にも通ずるものがあるのではないかと思われます。少子高齢化が進み、社会福祉の分野でも離職対策や社会福祉法人の改革などが大きな課題としてとらえられてきている今日、事業所がこうした調査を見てどう対応するのか、引き続き注目していきたいと思います。

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